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2006年03月29日

ペインマネジメントへの前向きな取り組み ~安心と共に老いる~

自分の健康に気を配り、痛みをコントロールする

何百万ものアメリカ人が、激痛に苦しみながら生活をしています。特に老人や、関節炎、糖尿病、がんといったような病気の人です。幸運にも、痛みをマネジメントする安全かつ効果的な方法がいくつかあります。重要なのは、この方法を知り、医療の専門家による助けを求める時期がいつなのかを知ることです。

以下には、痛みの認識、理解、また安全な対処の方法についての簡単な概要が書かれています。最新の情報である2002年の米国の老年医学会のガイドライン、老人の持続性の痛みを制御するためのアドバイスも含まれています。

○痛みを認識する

痛みなどは通常の加齢では生じません。これは、どこかがおかしいと、あなたの身体が、あなたに訴える手段でもあるのです。

通常、専門家は、痛みを2つの手段で定義します。

●日々の痛み
これには、さまざまな原因があります。例えば、姿勢の悪さ、筋挫傷、ねんざ、腱炎、滑液包炎、歯や歯茎の病気、足の痛み、また風邪やインフルエンザといった軽い病気の症状などです。

●持続痛
これは、1ヶ月もしくはそれ以上、継続的または断続的に起こる痛みです。
通常、長期的な病気や状態の結果に起こるものです。
持続痛の最も一般的な原因の2つは、関節炎と糖尿病です。


○痛みを和らげるための健康的なライフスタイル

健康的なライフスタイルを選ぶことによって、頻繁に感じる痛みや、その重症度を抑えることが可能です。転ばぬ先の杖です。

●体力、調整、バランス、持久力、柔軟性を維持するための定期的な運動

●やり過ぎないこと

●十分な繊維を含むバランスの取れた食べ物を摂取すること

●医療提供者(ヘルスケア・プロバイダ)に液体の摂取を制限するよう忠告されていないのであれば、1日にコップ8杯の水を飲む

●十分な睡眠

●よい姿勢での立ち座り、歩行

●健康的な体重の維持


○いつが医療の手助けを受けるとき?

老人の方が痛みを経験しやすいにもかかわらず、若い人ほど医師に相談するということをあまりしません。痛みを感じたときは、それを認識して受け入れ、治療法を探すことが重要です。

以下のような場合は、自分自身で痛みに対処しても大丈夫です。

●痛みの原因を自分で分かっている

●その痛みは深刻な怪我から起こっているものではない

●痛みが軽度から中程度であり、痛みを軽減させる方法(例:温かいお風呂、リラクゼーション、身体活動の調整)を行った後に回復、もしくは処方薬ではない鎮痛薬の推奨用量を使用している

●時がたつにつれて痛みが薄れていく


以下のような場合は、医療提供者もしくは病院に連絡してください。


●痛みが、心臓発作、脳梗塞、またそれに類似した内科的救急疾患の症状であると思った場合

●深刻な痛みである場合

●休息を取って、自分で治療し、市販の鎮痛剤の推奨用量を摂取したにもかかわらず4日以上、痛みが止まらない

●感染症である(痛みの部位に発赤、腫れ、熱などを含む感染症の症状)

●最近、転んだ、もしくは負傷した場合

●しびれ感などの感覚変化がある場合

●がんの病歴がある場合


○痛みのチェックリスト

痛みに関して医療提供者に相談することを決めた場合、自分の考えを整理しておけば、どんな状態であるか正確に説明することができます。適切な診断及び治療をするためには、明確な説明が不可欠です。診察の際に以下の質問に答えられるようにしておくといいでしょう:

●痛みのある正確な場所はどこですか?

●過去に同じような痛みを経験したことはありますか?

●鋭痛、鈍痛、ズキズキと痛む、焼けるように痛む、またはそれ以外の特徴のある痛みがありますか?

●痛みは継続的ですか?または出たり消えたりしますか?

●何によって痛みは和らぎますか?何によって痛みは悪化しますか?

●夜は眠れますか?または痛みに妨げられますか?

●何か特定の活動または運動をしたときに痛みは悪化しますか?

●入浴、食事、着替え、移動といった日常の活動が、どの程度、妨げられますか?

●物事を明瞭に考えたり、食欲、活力、ムード、他人との関係性などの、あなたの能力を、その痛みはどれくらいの頻度で妨げられますか?

●痛みのせいで、やりたいことができなかったということが、ここ1週間で何日間ありましたか?

●足首の捻挫、関節炎といった痛みについての明確な原因はありますか?


○一般的な対処法

毎日抱えている軽度の痛みは、簡単な対処だけでいい反応が起こります。担当医師は、短期間の休養と、活動の制限を提案し、薬物療法を追加するかもしれません。痛みの性質によって、理学療法士や作業療法士といったように、専門家も出てくるかもしれません。
理学療法士は、痛みを和らげるためのマッサージやエクササイズを使ったり、温めたり冷やしたりするでしょう。作業療法士は、痛みが発生する状況を改善または回避させ、生活を妨げるような痛みを予防する方法を発見する手助けをします。


○一般に市販されている薬物

一般の市販薬は、処方せんなしで手に入り、軽度から中程度の痛みに有効です。最も一般的な市販薬は、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウムを含む鎮痛剤です。


市販薬は処方せんなしで販売されているものの、これらは薬物であり、取り扱いには注意が必要です。間違った使用法は深刻な問題を引き起こしかねないため、説明書は注意深く読んで従ってください。自分の医療提供者と話して、その市販薬が、自分が取っている処方薬と相互作用がなく、自分の健康状態に影響を与えないということを確認することが重要です。


○アセトアミノフェン

米国老年医学会は、アセトアミノフェンを主に軽度から中程度の、筋肉・関節の痛みを和らげる最初の薬として推奨しています。アセトアミノフェンは、特に50歳以上の人に効果的なうえ安全です。その他の市販の鎮痛剤と比べて、アセトアミノフェンは、胃が荒れるといったような副作用が少ない薬です。

ただし薬の多くには、アセトアミノフェンが含まれていることを、くれぐれも留意しておいてください。製品ラベルを読んで、1日の合計摂取量が4000ミリグラム以下であることを確認しましょう。更に、1日に、定量のアセトアミノフェンを摂取することは、痛みが始まってから適当な量を取るより、痛みをコントロールする点でより効果的な傾向があります。1日にアルコール飲料を3杯以上飲むのであれば、アセトアミノフェンか、それ以外の鎮痛剤を取るのかについて医療提供者に相談した方がいいでしょう。慢性的な健康問題を抱える病弱な人や老人で、1日にアルコール飲料を3杯以上飲む人は、アセトアミノフェンの推奨量以上を摂取すると(過剰摂取)、肝臓障害の危険が増加する可能性があります。


○安全な使用に関する7つのステップ

1.ラベルを読む
食品医薬品局(FDA)により定められた新しい規則により、現在、全ての市販薬(OTC)には新しく簡易化されたラベルが貼られる義務があります。食料品店で目にする栄養成分表のラベルと類似したものです。新しい市販薬(OTC)は、目に付きやすく読みやすいラベルなので、成分、用量が比べやすく、いつ、どのようにその薬を摂取するのか、また有害性についてを理解することができます。薬を摂取する前に、必ずラベルを全部読んでください。

2.自分の薬物治療を全て記録しておくこと
自分が摂取している処方薬、市販薬、ビタミン剤、ハーブ、栄養補助食品の全ての名称と用量、そして摂取している理由をリストにして持ち歩くことは重要です。思い出せるように、リストにして医療機関の面談に持参してください。医薬品や食べ物のアレルギーも書き留めておいてください。

3.薬物間の相互作用をチェックすること
市販薬、漢方薬、栄養補助食品を服用する前に、医療提供者または薬剤師と話して、それが他にあなたが服用している処方薬に影響を与えないということを確認しましょう。

4.パッケージに書かれたとおりに鎮痛剤を服用すること
製品パッケージの説明について、理解できなかったり不明な点がある場合は、医療提供者か薬剤師に説明してもらってください。

5.医師からの具体的な指示がない限り、1日の最大服用量を決して超えないようにすること。
誤用は、深刻な健康問題を引き起こします。市販で売られている鎮痛剤の1日の合計服用量を計算する際は、その他の使用している市販製品の薬剤の量を含めることを忘れないようにしてください。

6.健康状態を悪化させる可能性のある鎮痛剤は避ける
健康障害がある場合は、その鎮痛剤があなたに適切であるかどうか医師に相談してください。

7.副作用の徴候に注意してください。
薬物治療を受けている場合、起こり得る有害な副作用に注意してください。副作用があった場合、すぐに医療提供者に連絡してください。副作用には、胃腸障害、アレルギー反応、幻覚症状、腎不全などが含まれます。


○NSAIDs

アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウムのようなNSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)は、鎮痛剤として効果的です。しかしながら専門家は、老人がこれらの薬物を長期間、大量摂取することを避けるように言っています。年齢を重ねるにつれて弱くなった腹部の内膜は、非ステロイド系抗炎症薬により損傷を受ける可能性があるからです。胃の内壁が損傷すると、潰瘍や出血を引き起こします。50歳以上で、特に女性は、こういった出血が起きやすくなります。ほとんどの場合、知らずに消化管出血になっていることがあります。

ワルファリンなどの血液の抗凝結薬を服用している場合、非ステロイド系抗炎症薬を服用する前に自分の担当の医療提供者と話してください。2種類の薬を同時に服用すると、出血のリスクが増えます。1日にアルコール飲料を3杯以上飲むのであれば、医療提供者と非ステロイド系抗炎症薬の使用方法を確認してください。腎臓の障害や消化性潰瘍の場合、非ステロイド系抗炎症薬は避けるよう医療提供者は忠告しています。


○処方せんのいる鎮痛剤

痛みが深刻であったり、数日以上治らないようだったら、処方薬で治療する必要があります。


●COX-2 阻害剤
COX-2 阻害剤と呼ばれる最新かつ安全な非ステロイド系抗炎症薬は、市販では入手が不可能です。これらの薬は、長期で毎日の痛みの治療が必要な人々に推奨される薬です。なぜなら、伝統的な非ステロイド系抗炎症薬で見られるような、消化管出血といった有害な副作用がないからです。

●アヘンを含んだ催眠鎮痛用薬剤
痛みに対処するため、モルヒネやコデインのように、アヘンを使用することは、最近になってやっと医学会で受け入れられるようになってきました。何年もの間、医師はその中毒性と深刻な副作用の可能性を恐れていました。しかし、医学会の研究と経験から得た知識によって、老人の患者が中毒になることはほとんどないことが分かり、医師もアヘンの取り扱いに十分注意すれば安心であることが分かりました。医療提供者が、アヘンがあなたにとって役立つと信じているのであれば、彼らは副作用とその管理法について話してくれるはずです。


○薬物治療をしない痛みの治療

薬を服用しなくても、安全で有効な痛みを和らげる手段はいくつもあります。これらの手法は、薬物療法と組み合わせて用いられることがあります。多くの人は家で行い、その他の人々はヘルスケアの専門家の手助けが必要です。あなたが使っている、または利用を計画している、鎮痛の手法について医師と話し合うことを忘れないでください。自分で学び、治療計画を最新に保つことは、不安や気分の落ち込みを軽減させ、自立の助けとなり、また、痛みを制御することが分かっています。

以下は、訓練を積んだヘルスケアの専門家から基礎的な指導を受けた後に、家で試せる、痛みを軽減させる方法です:

●冷却剤
冷却剤を痛みのある部分に15~20分当ててください。必ず、タオルのような保護するものを冷却剤に巻いてください。不快感があったり、皮膚の色に変化が現れた場合は、当てる時間を短くしてください。ねんざした場合は、腫れを落ち着かせるためにすぐに冷却剤を当ててください。腫れは、痛みの根源です。関節痛の場合、冷湿布は熱や赤み、腫れのある際の痛みを軽減させるのに役立つことでしょう。冷却剤は、筋挫傷、背中の痛み、歯痛、頭痛の応急処置としても効果的です。

●温める
1~2日以上続く痛みには、温めることで痛みが和らぐことがあります。温かい、湿式加熱したパックは、筋肉、関節、背中の痛みに効果的です。やけどするほど熱くないよう、温かさを確認してください。温めることは、関節炎の凝りを和らげ、運動性を向上させる最も効果的な方法ですが、腫れがひどくなり、関節の液体が増えることがあります。温めと冷やしを交互に行うことは、どちらか一方だけを行うよりも、より効果的な方法です。(糖尿病や循環問題がある場合は、絶対に脚は温めないでください)

●エクササイズと動作
エクササイズと動作は、痛みを和らげる最適な方法です。身体活動は、頭痛を和らげ、気分を落ち込みにくくし、腰痛を予防し、関節が動く範囲を広げることを促進します。激しい活動をする必要はなく、関節が損傷しない程度のソフトな活動をしましょう。

痛みを和らげるためのエクササイズは、長くやる必要もありませんし、激しくやることもありません。定期的な運動を行うことが最も効果的なのです。定期的な身体活動は、心臓や循環システムを健康的に保ち、メンタルヘルスにも肯定的な影響がたくさんあることが分かっています。定期的な運動のプログラムを開始する前に、自分の医師と確認しあうことを忘れないでください。

投稿者 : kenkoo 11:31

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