« ペインマネジメントへの前向きな取り組み ~安心と共に老いる~ | メイン | 長期的なビジョン »

2006年04月17日

科学界における伝説の男の歴史 ~フィリップ・アベルソン~

●小学校の先生の言葉

今から80年近く前、ある小学校の先生は受け持ちのクラスの生徒たちにこう言いました。「このクラスの生徒一人ひとりには特別な才能と可能性があります。みんなの責任は、その才能が何かを探し、それを使うことです。」

この教室にいた生徒の1人、フィリップ・アベルソン少年はこの言葉をよく覚えていました。そして、成功した科学者で、解説者でもあるアベルソン博士は、90歳近くなった現在でも、科学界を探求し、影響を及ぼすことで、この責任を果たし続けています。

●科学者としての活躍

アベルソン博士は、サイエンス誌の編集長を務めた22年間に、科学リサーチに関する公開論議について600件を超える社説を執筆しました。博士の名は、原子力潜水艦の動力供給やマンハッタンプロジェクトなど、関与した有名なプロジェクトなどでも知られています。

「アベルソン博士は、実在する最も重要な科学者のうちの一人だと言っても過言ではないだろう」とサイエンス誌の現編集長エリス・ルビンステイン。

アベルソン博士には、科学栄誉賞、米国科学委員会のヴァネバー・ブッシュ賞、全米科学アカデミーのパブリック・ウエルフェア・メダルなど多数の受賞歴があります。また米国科学振興協会(AAAS) は、博士に敬意を表し、その科学的偉業を認めるためにフィリップ・ハウゲ・アベルソン賞を設立しました。


●「名誉老人」

現在、アベルソン博士は米国科学振興協会(AAAS)内のオフィスで、自身の活動のコーディネートをしています。博士は、同協会における自身の公的な立場を重要視せず、自らを協会の「名誉老人」と称しています。しかし、米国科学振興協会(AAAS)のアラン・レシュナー最高責任者によると、アベルソン博士のシニア・アドバイザーと副編集長というポジションは、お飾りだけの存在をはるかに超えているということです。

「博士のオフィスの前には、私を先頭に、プログラム、科学的、そして編集上の問題に関するアドバイスを求める人たちの行列ができています。博士の経験と見識は、我々がAAASの将来の方向性を決めるのには不可欠なのです。また、博士は今でも、毎年、新しいプログラム的なイニシアチブの提案と実践をしています」とレシュナー氏。


●アベルソン博士の長寿の秘訣

アベルソン博士は同僚と共に、自身の最も得意な分野であるヒューマン・ヘルスの1日セミナーに取り組んでいます。

「人の身体について学べば学ぶほど、身体がいかに素晴らしい機械であるかがわかります」とアベルソン博士。「皆は自分たちがいかに恵まれた存在であるかに気付かず、身体をいじめているのです。」

博士は、生活を、簡単で実践的なガイドラインで管理しています。例えば、適切な食事と運動は重要な日課の一部となっています。博士は毎朝6キロの早歩きを終えた後は、自家製のフルーツカクテルジュースを飲んでいます。

しかし、身体的な健康は全体のほんの一部にすぎないと博士は言います。博士は12冊の科学ジャーナルを定期購読し、今後の研究に役立つ重要な情報を探すため、毎日、それらに目を通しています。博士の情報収集に対する情熱は、土木技師であった父親から受け継ぎました。

「私の父には、確固とした理念がありました。彼は新しい技術方法に立ち遅れることなく適応していました。いわば、父は息子に手本を示していたのです」とアベルソン博士は言います。


●父親からの教え

父親が教えた理念は、アベルソン博士が大きくなる前にしっかりと心に植え付けられました。ワシントン州プルマンにあるワシントン州立大学で化学を専攻していたアベルソンは、自己に厳しくあり続けました。多くの学生が実験室に着くまで、その日に行う実験概要のマニュアルを読まないでいるのに対し、アベルソンは前の晩にマニュアルを読み、実験室に入ったときには、その日の実験で具体的に何に取り組むかという計画ができていました。

このような授業に対する効率的なアプローチにより、アベルソンは学期内に履修する教科を早く終わらせることができました。そして余った時間を自分の好きな実験にあてました。現在でもアベルソン博士は、毎日、その日に成し遂げるべき多くのタスクをリストに書き出し、優先順位を決めています。

●1日の行動を計画する

「1日により多くのことを達成するために、その日の行動を計画する習慣をつけるのです。」

この効果的な方法は、多くの優秀な同僚の中でアベルソンをスター的存在にしました。彼の評判が広まるにつれ、自分の時間と決定すべき事項を要求するようになりました。

「時代の流れと共に、機会も変わります」アベルソン博士は言います。「科学的な事業や活動において、常に新しい進歩があります。誰かが何かを達成していくと、周囲の人々は、どこかの委員会の委員を務めて欲しいといいます。状況は常に進化しているのです。」

投稿者 : kenkoo 16:31

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kenko.org/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/12