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2007年02月15日

皮膚科医 マリー=ルイーズ・ジョンソン博士

ケネス・ジョンソン博士は、妻に引退して第一線から身を引くよう勧めるつもりでいましたが、その考えを改めました。

博士は次のように語りました。

「妻が引退して患者から離れるためには、もっと興味を持てて、やりがいのある何かが必要だと思っていました。」

彼の妻であるマリー=ルイーズ・ジョンソン博士は76歳。ニューヨーク州キングストンで開業する皮膚科医です。しかし初診の場合は1年以上待たなければ、彼女の診察を受けることができません。

彼女の夫は、尊敬を集めている心臓内科医であり、コンサルタントで公衆衛生分野の権威でもあります。患者が彼女を求める理由を、彼は次のように考えています。

「妻は思いやりのある人物で、近所の住民や患者、同僚にも慕われています。目の前にいる人が快適な生活を送っているか、気遣う妻の思いが伝わっているのでしょう。」

●盛況な診療以外の活動

患者の診察はマリー=ルイーズ・ジョンソン博士が、医師として行う数ある活動の1つに過ぎません。その活動範囲は患者の直接診察だけでなく、研究や教育など医療にかかわるすべての事柄に及びました。必要ならば、どんなことでもやろうとしてきたのです。“自ら率先して行動する人”というのが、誰もが抱く彼女のイメージでしょう。

彼女はイェール大学、ダートマス大学、コーネル大学、ニューヨーク大学など一流の大学で教鞭を執り、その他、有名な施設や病院で指導を行ってきました。

功績も数多くあります。産婦人科・小児科基金の会長、全米科学アカデミーや軍における女性の衛生研究での貢献、イェール大学医学部同窓会長など、かかわった機関は数知れません。

また“初”とつく経歴も多く残しています。
アメリカ皮膚科学会では初めての女性会長となり、全米科学アカデミー医学研究所所長に女性で初めて選出されました。原爆傷害調査委員会と共に日本を訪れた初の皮膚科医でもあります。

日本では被爆者の診察にかかわり、放射能が健康に及ぼす影響についても調査しました。日本のケースでもガイドラインを作り、他の医師たちを指導することで、リーダー的な役割を担いました。また国民健康栄養調査に皮膚科の項目を取り入れたり、1970年代前半にはアメリカの健康に関する過去最大の総合調査を行ったりしました。この調査でも、彼女の尽力で皮膚科の項目が加わったのです。

●「私のやっていることは仕事だけ」

現在、彼女は週に3日の診療を続け、残りの2日は学術的な研究に費やしています。また月に1~2回はイェール大学病院に赴き、回診を行って患者を診ています。

彼女と同年代の大多数が、現役から退こうと考えていることは、本人も認めています。しかし結果的に、面白い仕事が多すぎて引退することに魅力を感じないのです。

彼女の元気の源は、食事ではなく仕事です。朝ポット1杯の紅茶を飲むだけで、自宅で夕食を取る時間まで何も食べ物は口にしません。

「母親たちは、“娘に朝食を食べるように言ってください”と頼んできますが、もし私がそういう発言をしたらウソつきになってしまいますね」と話します。

「私のやっていることは仕事だけです。それ以外では、あまり神経質にはなりたくないのです。」

ジョンソン博士は現在、“興味が持てて、やりがいのある”プロジェクトに携わっています。このプロジェクトは患者の診察の質を下げずに、さらに診療時間も短縮できるという内容のものです。
彼女は現在、皮膚科センターの設立を段階的に進めているのです。例えば患者が、遠く離れたニューヨークやイェール大学まで足を運ぶことなく、同じレベルの診療を受けられるためのセンターです。

センターが完成しても、ジョンソン夫妻がどこかに旅行したりするかと言えば、それは疑問です。

ジョンソン博士の夫は、こう語りました。

「私たちは旅が趣味ではありません。もちろん旅はよくしますが、船旅などに出掛けたら、きっと退屈で落ち着かないだろうと思います。何か有意義なことをする目的でどこかへ行くことが、私たちの理想の旅なのです。」

夫妻は年に3回イタリアのローマを訪れますが、旅行としてではありません。親交のあるローマの医学関係者に助言を与えたり、数々のプロジェクトに参加したりするためです。また南国のジャマイカやバハマなども訪問し、指導や研究、小児麻痺の予防接種やクリニックの立ち上げなどにもかかわっています。

夫婦でビジネス旅行をすることについて、彼は次のように述べました。

「いい変化だと思います。本当にくつろげますし、理想的な休日です。旅行者としてではなく異国で人助けができて、その国の生活に密着できるんですからね。」

投稿者 : kenkoo 11:28 | トラックバック (0)